自筆証書遺言の書き方

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自筆公正証書の書き方

自筆証書遺言は、公正証書遺言と違い、家庭裁判所における「検認」という手続きを経なければいけない点で大変面倒です。また、ご自身で作成された場合、記載の仕方の問題で、意図したような分割が実現しなかったり、そもそも様式が不十分なため、無効になってしまったりという危険性があります。

そのため、当事務所では、公正証書遺言の作成をお勧めしています。しかし、近い将来に親御さんの相続が予定されているので書換を見込んでいる、何度でも手軽に書き換えたいなど、自筆証書遺言が適している場合もあります。

以下に、ご自身で遺言書を作成する場合の注意点についてまとめてみました。自筆証書遺言の作成を検討されている方は是非ご一読ください(併せて「遺言・相続 なんでもQ&A」もご覧ください。)。


事前準備

財産の把握

遺す財産を把握し、財産目録を作成しておきましょう。同居のご家族であっても、自分以外の誰かの財産を完全に把握しておくのは難しいものです。また、ご親族が「〇〇銀行と取引があったはず」、「〇〇のあたりに不動産があったと思うけど」という程度に把握していたとしても、ご本人亡き後にご親族が調査するのは大変困難です。

また、すべての財産が明らかになっていない場合、「財産をすべて知っている人」と「知らない財産がある人」がいることになり、相続人の間で「まだ隠し財産があるのでは」と疑心暗鬼になったり、相続人間紛争に発展したりします。

そのため、まずは、ご自身がお持ちの財産を「財産目録」という一目見れば財産内容が分かる形で残しておきましょう。

相続人の把握

ご自身にお子さんがおられる場合、相続人の範囲はそれほどひろがることはありませ。しかし、お子さんがおられない場合、ごきょうだいやその子ども(姪や甥)にまで相続が及ぶことがあります。できれば、親族関係図などを作成すると視覚的にも分かりやすいでしょう。

作成上の注意

形式的な注意

自筆証書遺言は、備えていなければならない形式が民法第968条で次のように定められています。

自筆証書によって遺言をするには、遺言者がその全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない

つまり、

①全文を自分で書くこと(パソコンや代筆は無効)
②日付を入れなければならない
③署名、押印が必要

ということです。この他にも、一つの遺言書で2人以上の遺言の内容が書かれているものも無効ですし、遺言者が遺言内容を語っている録音テープや録画ビデオでもダメです。せっかく書いた遺言が無効にならないよう、しっかりと約束事を把握してから作成しましょう。ちなみに、日付については、何年何月何日と確定することが必要です。「〇〇年6月吉日」のような書き方では無効となります。

内容的な注意

遺留分を侵害していないか
遺言は、自分の思い通りに書くことができますが、ご自身の死後、親族間に紛争が起こらないような配慮も必要です。例えば、前妻と死別し、内縁の妻と長男がいるとします。遺言により、内縁の妻にすべての財産を遺贈するという内容の遺言を遺したとしましょう。おもしろくない長男は、遺留分減殺を請求するかもしれません。なるべくなら、遺留分を侵害しないような遺言の内容を心掛け、どうしてもという場合は、付言にて説明をするようにしましょう。

遺言執行者は記載するか
遺言執行者とは、遺言の内容を正確に実現させるために必要な手続きなどを行う人のことです。子供の認知や相続廃除を遺言で行う場合は、遺言執行者が必ず必要ですが、それ以外の場合は任意です。

しかし、遺言執行の手続は財産の内容によっては複雑多岐にわたり、専門家に依頼した方が安心できる場合があります。また、相続人のうちの一人を執行者として選任する場合、親族間紛争を招くおそれもあり、慎重な判断が必要になってきます。 詳しくはこちら

付言事項は気持ちが伝わるように書けているか
遺留分を侵害するような遺言を遺す場合をはじめ、相続人の間で誰かに偏るような内容となっている場合は、なぜそのような分け方を希望するのか、理由を書いておくことによっていらぬ紛争を回避できることがあります。付言事項には法的効果はありませんが、「最後のラブレター」とも呼ばれる大事な部分です。


 

遺言書の例

タイトル 

遺  言  書


誰の遺言か
 
遺言者✖✖は、この遺言書によって、妻〇〇、長女△△、長男□□に対して次の通りに遺言する。


分け方 
  
1. 妻〇〇に下記の不動産を相続させる。
(1)土地
所在 東京都港区●-●●-●●
地番 
地目 
地積 
 
 (2)建物
所在 東京都港区
家屋番号
種類 
構造 
床面積  
 
 2. 長女△△に下記の預金を相続させる
●●銀行●●支店 口座番号●●●●●●●

3. 長男□□には残りの財産すべてを相続させる
  


遺言執行者 (任意)

遺言者✖✖は、遺言書の執行者として下記の者を指定する

   住 所 東京都港区~
   職 業 行政書士(成人していれば誰でも選任可能)
   遺言執行者  ●●●●


付言事項

母さん、△△、□□、今まで支えてくれてどうもありがとう。一家の長として、ここまでやってこれたのもみんなのおかげだと思っています。

母さんには、引き続き今の家に住みながら、老後をゆっくりと過ごしてほしいと思います。△△、自分の家族の世話との両立は大変だと思うけれど、母さんのめんどうをよろしく頼みます。

□□、大したものを遺してやれなくてすまない。しかし、□□は大企業に勤めていて将来有望だ。自分の手で自分の道を切り開いていくことを信じている。がんばってほしい。


日時等

平成◯◯年◯◯月◯◯日
 
住 所  東京都新宿区西新宿●-●●-●
 
遺言者  ✖✖   印