離婚公正証書作成を拒まれたときの4つの説得方法

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離婚公正証書作成を拒まれたときの4つの説得方法

離婚の際には、離婚公正証書の作成をおすすめしていますが、ご自身は作成したくても、相手が応じてくれないということがあります。今回は、そんな場合の対応について考えてみたいと思います。

    1 相手方が拒む理由

1-1 強制執行がこわい

たいていの場合、離婚公正証書の作成を持ち出された方は、急いでネットなどで「離婚公正証書、法的効果」とか「離婚公正証書、不払い、どうなる」などと検索するものです。そうすると、「公正証書を作成すると強制執行ができる」と書かれているのを見てしまい、「給料を差し押さえられる」とか、「不動産を競売にかけられる。」などと不安になってしまうのです。はなから支払う気がない人もいますが、中にはちゃんと支払う気はあるのだけれど、万が一支払えなくなった場合の強制執行がこわいと感じてしまう人もいるでしょう。こういう人たちの決まり文句は「払うって言ってるのに信じられないの(か)!」です。

1-2 手続きが面倒

公正証書は作成するのに少し手間がかかります。基本的な手続きの流れは、①事前相談(夫婦のどちらか一方でも可)、②公証人が証書案を作成、③作成案をメールやFAXなどで相談者に送る、④作成日の調整等の連絡、⑤夫婦そろって公証役場に出向いて公正証書を作成、という手順を踏みます。なので、少なくとも一回は公証役場に足を運ぶ必要がありますし、公証人が作成した案等に目を通す必要もあります。また、戸籍や印鑑証明等の添付書類を集めるのが面倒だと感じる人もいるようです。

1-3 費用がかかる

公正証書を作成する場合、手数料がかかります。価額に対する手数料の割合はかなり低く、大した金額ではありませんが、これを気にする人もいます。お金持ちほどお金にはシビアですので。

目的の価額 手数料
100万円以下 5000円
100万円を超え200万円以下 7000円
200万円を超え500万円以下 11000円
500万円を超え1000万円以下 17000円
1000万円を超え3000万円以下 23000円
3000万円を超え5000万円以下 29000円
5000万円を超え1億円以下 43000円
1億円を超え3億円以下 4万3000円に5000万円までごとに1万3000円を加算
3億円を超え10億円以下 9万5000円に5000万円までごとに1万1000円を加算
10億円を超える場合 24万9000円に5000万円までごとに8000円を加算

1-4 そもそも離婚を決断しきれてない

しかたなく離婚には合意しているけれども、積極的に望んでいるわけではない人は、離婚公正証書の作成にも消極的です。離婚を切り出された方としては、「本当は離婚したくないけれど、今更元に戻るのは難しいことも理解できるから離婚に応じる。」という気持ちです。離婚そのものに対する決意が固まってない場合、離婚条件を具体的に吟味する段階にないので、条件を書き込んだ公正証書も作成できないということになります。

   2 相手を説得する方法

2-1 調停を申し立てると伝える

「公正証書作成に協力してくれないなら、調停を申し立てて調停調書を作るまでだ。」というあなたの意思を伝えましょう。そして、調停となれば、平日の日中に会社を休まなければならないこと、出席しなければ相手の言い分は通らないこと、調停は一回では済まないこと、調停調書があれば強制執行の手続きがとれることも併せて説明しましょう。そうすれば、普通の理解力のある人であれば、強制執行をおそれていようと、手続きが面倒だと拒んでいようと、結果的にはもっと面倒な手続きで強制執行が可能な文書ができあがることになるのが分かると思います。
さらには、調停や裁判になって弁護士を委任した場合、その費用は公正証書の手数料の比ではありません。内容に合意できているのに調停や裁判をすることがいかに無駄であるかを伝えましょう。

2-2 離婚しないと言う

これは、相手が離婚を望んでいる場合のみ有効ですが、公正証書を作成してくれないと離婚しないと言いましょう。

2-3 相手のメリットも伝える

これはあまり気付かれないのですが、実は、お金を支払う方にも公正証書を作成するメリットがあるのです。なぜなら、公正証書を作成する場合、清算条項というのを入れることになりますが、これは「今後、公正証書に書いたもの以外の金銭を要求しない。」というものです。ですので、財産分与を支払ったのに、「まだ足りない。」とか、「もらってない。」と言って請求されることを防ぐことができます。また、面会交流など、相手の権利についても定められることも伝えましょう。「養育費を決めたところで無職になって支払えなくなったらどうしよう。」と心配している人には、状況が変われば「養育費減額」の調停などもできることも伝えましょう。

2-4 相手を慮る

これまで書いた方法は、どちらかというと「脅し」と「駆け引き」的な要素があります。しかし、これだけでは対立構造が増すだけです。お互い人間ですから、心の声も一緒に伝えましょう。「ちゃんと支払ってくれると信じているけど、一人で生活していくための安心がほしい。」「少しくらい支払いが遅れたって、連絡さえしてくれればいきなり強制執行したりしない。」、「できれば調停などをせず、穏やかに取り決めたい。」といったあなたの生の気持ちが伝われば、案外「脅し」よりも効くかもしれません。

2-5 どうしようもない場合

相手がまだ離婚する決心を固めていない場合は、どんな方法をとっても難しいでしょう。相手の気持ちが固まるまで待つか、とにかく条件をあいまいにしたまま離婚を押し切るのかはあなたの選択です。

   3 まとめ

離婚諸条件で合意している場合、夫婦双方にとって公正証書作成よりいい方法はないでしょう。お互いが公正証書作成のメリットや効果を理解し納得の上で作成できれば、将来の紛争はうんと小さくなると思います。諦めず、粘り強く取り組みましょう。