このコラムでは、遺言書を作成する際に知っておいた方がよい「豆知識」をご紹介します。
1 検索システム
公正証書遺言は、最寄りの公証役場にて、その有無(東京では昭和56年1月以降のもの)を無料で遺言検索システムにより検索ができます。
自筆証書遺言についても、遺言者が2020年7月からの保管制度を利用していれば、検索が可能です。遺言者が生きている間は、本人以外、照会することができません。
成年後見人であっても同じく不可です。そのため、親族から色々と詮索されたり、内容について書き換えを迫られたりする心配はありません。
遺言者が亡くなった後、相続人が以下のものを提示した上で照会が可能となります。
・遺言者の死亡を証明する戸籍謄本
・相続人であることを証明する戸籍謄本
・本人確認資料
2 遺言書の有無と遺産分割の要否
よく誤解されるのが、遺言書さえ作成しておけば、遺産分割協議が必要ないという考え方です。
実際は、遺言書があったからといって、必ずしも遺産分割が不要になるわけではありません。
例えば、指定されていない未分割の遺産がある場合や、割合的に相続分を指定している場合など(具体的な財産を〇〇に相続させるといった内容ではなく、相続財産の〇〇%を長男に相続させる、など)は、遺産分割協議が必要になります。
3 受遺者が先に死亡した場合の取扱い
遺言者より先に受贈者が死亡した場合、その分は未分割の扱いになります。この事態を防ぐため、先に受贈者が亡くなった場合の二次的な遺贈条項を定める例も多かったりします。