遺言・相続 Q&A

遺言・相続 Q&A

 

遺言・相続に関するよくある質問をまとめました。是非ご参考になさってください。

遺言

Q たいした財産がない場合、遺言は不要ですか
Q 仲のいい家族の場合は遺言は不要ですか
Q 自筆証書遺言と公正証書遺言はどちらがいいですか
Q 公正証書遺言を作成したいのですが、体が不自由です。方法はありますか
Q 相続させたくない相続人がいる場合はどうすればいいですか
Q 推定相続人ではない人に相続させることはできますか
Q 遺言の内容を変更したり、撤回する場合はどうすればいいのですか
Q 遺言執行者とは何をする人ですか。必ず選任しなければなりませんか
Q 遺留分とは何ですか
Q 付言事項とは何ですか
Q 検認とは何ですか

相続

Q 父の死後、遺言書が見つかりました。すぐ開封してもいいですか
Q 遺産分割協議に期限はありますか
Q 故人に負債があるかどうかはどうやって調べるのですか   
Q 相続人の間で遺産分割協議が整わない場合はどうするのですか
Q 相続人は娘である私と母です。母にすべて相続させたい場合、私が相続放棄をすればいいですか
Q 故人の生前、身の回りの世話を一手に引き受けていました。多めに遺産をもらうことはできますか?
Q 姉は故人の生前、自宅購入費を援助してもらっています。その分を相続から引くことはできますか


Q  たいした財産がない場合、遺言は不要ですか

A ご自身が「たいしたことない」と思っている財産でも、相続人にとっては違うということがあります。相続人の間で遺産分割協議が整わず、家庭裁判所で調停を行っている人の中には、遺産が1000万円以下の人たちがたくさんいます。遺産の多少にかかわらず、遺言は作成しておいた方がいいでしょう。

Q 仲のいい家族の場合は遺言は不要ですか

A 遺言の要否に家族が仲が良いかどうかはあまり関係がありません。紛争が見込まれる場合、作成が必要なことは言うまでもありませんが、仲がいいからといって作成しなくてもよいとはかぎりません。

家族がうまくいっているのは、家長である遺言者が存命していたからかもしれません。また、遺産分割をきっかけに関係がギクシャクすることもあります。また、遺産分割協議そのものが残された家族には負担です。

大切な家族が亡くなった悲しみに打ちひしがれているときに財産調査や分割協議をしなくて済むよう、あらかじめ遺言書を作成しておくのが家族への愛情とも言えます。

Q 自筆証書遺言と公正証書遺言はどちらがいいですか

A 自筆証書遺言は、手間やお金をかけずに作成できるメリットがあり、気軽に書き換えることも可能です。一方、相続が開始した際、家庭裁判所で「検認」という手続きを経なければ、執行することができません。また、「本当に本人が書いたかどうか」が争点となり、親族がもめる原因にもなります。

この点、公正証書遺言は、作成に一定の手間やお金がかかり、気軽に書き換えというわけにはいきません。しかし、公証人が作成しており、一番安全で確実です。紛失や偽造の心配もありません。

当事務所では、遺言内容の実現という点から、公正証書遺言をお勧めしております。しかし、それぞれのニーズに合わせて選択することが一番重要です。

Q 公正証書遺言を作成したいのですが、体が不自由です。方法はありますか?

A 通常、公証役場に出向いて公正証書遺言を作成しますが、ご高齢で外出が困難な方やお体が不自由な方のために公証人が出張してくれるサービスがあります。最寄りの公証役場に相談してみてください。

Q 相続させたくない相続人がいる場合はどうすればいいですか

A 民法には「相続人の廃除」という規定があり、推定相続人から相続権を奪うことができます。しかし、これは家庭裁判所に申し立てる必要があり、手続きが煩雑です。そのため、遺言の中で、相続させたくない推定相続人には遺産を残さない旨のを記載することができます。
ただ、その推定相続人が遺留分を有するときは、この限りではありません。

Q 推定相続人ではない人に相続させることはできますか

A 例えば、法定相続人である子どもではなく、内縁の妻に財産を残したいとします。その場合、内縁の妻は法定相続人ではありませんので、厳密に言うと、相続させることはできません。しかし、「遺贈」という方法で財産を残すことはできます。ただ、この場合子どもは遺留分を有しますので、遺留分減殺請求を行われる可能性があります。

Q 遺言の内容を変更したり、撤回する場合はどうすればいいのですか

A 自筆証書遺言の場合、変更したい部分に加筆修正及び署名押印すれば変更できます。また、遺言書を破棄してしまえば、撤回と同じ効力が生じます。

公正証書遺言の場合、内容を変更することはできず、新たな遺言を作成しなおすことになります。遺言の形式は問われませんんが、無効となるリスクを考えると、公正証書遺言の形式が望ましいでしょう。

遺言は、どのような形式であれ、最新のものが有効となります。ですので、新しい遺言を作成した場合、その遺言が有効であれば、以前の遺言は自然と無効になります。

Q 遺言執行者とは何をする人ですか。必ず選任しなければなりませんか

A 遺言執行者とは、遺言の内容を正確に実現させるために必要な手続きなどを行う人の事です。遺言執行者は、子供の認知や相続廃除を行う場合を除き、必ず必要なわけではありません。しかし、財産内容が複雑な場合は、諸手続が負担になる場合がありますので、弁護士、司法書士、行政書士といった専門家に依頼する方法もあります。

また、相続人のうちの一人を執行者に選任した場合、他の共同相続人と紛争関係が生じることがあります。遺言の内容が特定の相続人に偏るような場合は、親族以外の専門家を執行者として選任しておくほうがいいでしょう。

Q 遺留分とは何ですか?

A 遺留分とは、遺言の内容に優先して、相続人が遺産から取得できる財産を言います。遺留分が認められている趣旨は、残された家族の生活保障などにあります。例えば、亡くなった父親が財産の全てを愛人に相続させるという内容の公正証書遺言を作成していたとします。残された妻や子どもたち、特に老齢であることが予想される妻の生活を考えるとあまりに酷な相続となってしまいます。このような事態をさけるために認められているのが遺留分です。

遺留分を有する相続人や遺留分の割合についてはこちらをご覧ください。

Q 付言とは何ですか?

A 遺言書の最後に書く家族へのメッセージのようなものです。大抵は、遺言の内容についての説明やこれまでの感謝の気持ちを書いたりします。

付言事項に法的効果はありません。しかし、だれかの遺留分を侵害するような遺言内容の場合、説明や理由を書くことで、遺留分減殺請求を控えてもらうことができるかもしれません。例えば、長女花子と長男太郎が相続人であるところ、全財産を長女花子に相続させるという遺言を作成したとします。付言事項を以下のように書けば、長男の気持ちは少しおさまるのではないでしょうか。

「太郎には何も残してやれず申し訳ない。しかし、花子は、配偶者に恵まれず、これからの人生を一人で歩んでいなければならない。父親としては心配でならない。一方太郎は、暖かい家族と安定した仕事を手に入れた。もう何も心配していない。この気持ちをくんでくれると嬉しい。何より、私の死後、きょうだい仲良く助け合ってくれるのが一番の望みだ。」

Q 検認とは何ですか

A 検認は、相続人に対し遺言の存在やその内容を知らせるとともに、言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

検認は、家庭裁判所に申し立てる必要があり、手間や時間がかかります。また、家庭裁判所からすべての相続人に通知されますので、紛争を生むかもしれません。そのため、当事務所では、検認の不要な公正証書遺言の作成をお勧めしております。

Q 父の死後、遺言書が見つかりました。すぐ開封してもいいですか?

A 開封してはいけません。家庭裁判所にて検認の手続を受けましょう。この検認手続きを経ずに勝手に遺言書を開封すると、法律によって5万円以下の罰金が課されることもあります。

Q 遺産分割協議に期限はありますか

A 明確な期限はありません。しかし、分割協議をしないまま放置し、次の相続が開始した場合、相続関係が大変複雑になってしまい、子どもの代に負担をかけることなります。また、相続税の支払いが必要な場合は、相続開始から10か月と定められていますので、自ずと遺産分割協議の期限も10か月となります。

また、相続を放棄する場合は3か月以内、相続財産の所得税の申告は4か月以内などの期限もあります。

大切な人がお亡くなりになり、法要をなんとか無事に終えた後、相続のことまで考えられないという気持ちになりがちです。遺産の内容や相続人の範囲が広いなど、手続が煩雑になることが予想される場合は、弁護士・司法書士・行政書士等の専門家に依頼するのも一手です。

Q 相続人は娘である私と母です。母にすべて相続させたい場合、私が相続放棄をすればいいですか

A よくある相続パターンですが、この場合、娘さんが相続放棄をしてしまうと、相続開始時に遡って相続権を有しないことになります。もし、故人にきょうだいがいた場合、娘さんが相続放棄すると、故人のきょうだいに相続権がうつることになり、お母さん一人での相続が難しくなります。お母さんがすべて相続する内容の遺産分割協議書を作成しましょう。

Q 故人に負債があるかどうかはどうやって調べるのですか

A 人に借金がある場合、遺産および負債の全体を把握したうえで、相続人として債務整理するか、相続放棄するかを選択することになります。ただ、負債について、家族に詳しく説明していなかったり、隠したりしていることもままあります。そのような場合は、以下の方法で負債の調査を行うことになります。

①保管書類、郵便物の確認
②通帳の記帳内容を確認
③個人信用情報開示請求

Q 相続人間で遺産分割協議が整わない場合はどうするのですか

A 家庭裁判所にて調停を行う方法があります。ただ、調停も協議の場であることには変わりませんので、それでも合意ができない場合は、審判という手続きに移行することになります。いずれにしても、家庭裁判所で遺産分割に関する話合いをすると長期化が懸念されます。なるべくなら、調停に申し立てる前に解決したいものです。

Q 故人の生前、身の回りの世話を一手に引き受けていました。多めに遺産をもらうことはできますか?

A 寄与分といって、故人を特別にお世話した人がより多く相続できる制度があります。ただし、寄与分は、少しお世話しただけで誰にでも認められるものではありません。

①相続人であること(隣人などはだめ)
②特別な行為であること(妻が夫の介護をした程度ではだめ)
③故人の財産の維持又は増加と因果関係があること(介護ヘルパー代がかからなかったなど)

ほかにも、無償性や継続性、専従性なでの要件も必要になってきます。

Q 姉は故人の生前、自宅購入費を援助してもらっています。その分を相続から引くことはできますか

A この場合、お姉さんは「特別受遺者」となり、お姉さんが援助してもらった金額を相続財産に含めた金額で分与をし直すことになります。

特別受益の制度は、生前贈与や遺贈により遺産の前渡しをした被相続人の意思を尊重しつつ、生前贈与や遺贈の「持ち戻し」をすることにより、法定相続分に修正を加え、もって共同相続人の実質的衡平を図ろうとするものです。